鉄瓶「あかいりんご」が三井ゴールデン匠賞を受賞いたしました

若⼿職⼈の育成ともなる鉄瓶「あかいりんご」を、2019年8⽉にリリースしました。

この鉄瓶は、若⼿職⼈の段階から製造の全⼯程に携われるようにしています。

⼀つ⼀つの⼯程を⼀⼈前にしながら修業を積むのがこれまでの通例でしたが、全体感を把握し、実体験として「なぜその⼯程が必要か」の理解を深めながら鉄瓶をつくった⽅が⾝になると考え、取り組みをスタートしました。

若手を未来の巨匠へ育てていくため、安価なもののように工程の短縮をするのではなく、あくまで”伝統の手づくり品”としての全工程を手掛けることで、機能性が劣らないものづくりにこだわっております。

そしてこの度、あかいりんごとその取り組みが評価され、「第3回 三井ゴールデン匠賞」を受賞させていただいたと共に、一般投票により最も支持を得た受賞者が選出される「モストポピュラー賞」も頂戴いたしました。

三井ゴールデン匠賞とは、三井住友銀⾏や三井不動産、⼤樹⽣命などの企業で構成される「三井広報委員会」により2015年に開設された賞で、⽇本の伝統⽂化を継承しつつも新たに⾰新的アイデアを積極的に取り⼊れることで、さらに発展させている個⼈または団体を表彰することを⽬的としています。

その選定委員の方々からの講評を、三井ゴールデン匠賞のウェブサイトより以下に引用いたします。

南部鉄器の伝統工芸士である父・田山和康氏(田山鐵瓶工房 代表)を顧問にその技術を受け継ぎながら、職人の就労環境の整備、多様なメンバーの組織編成など人材育成面での取り組みが高く評価された。特に、技術を習得するには10年はかかるといわれる南部鉄器の製造において、若手職人でも全工程にかかわれるよう加飾面での工程を減らした鉄瓶「あかいりんご」の企画は、安価な代替品と競うための工程短縮とは違い、量産材料の使用、機械化に頼らざるを得なかった状況を大きく変え、従来の伝統工芸品と機能的に劣らない品を仕組みの工夫により提供可能にし「今後の展開が期待される」と好評だった。

このように評価いただいた、あかいりんごとその取り組みを『修業の在り方をアップデートすることによる人材育成と伝統の継承』と題し、エントリーしました。

南部鉄器業界で一人前になるには10年かかるとも言われています。私どもの鉄瓶は全て手づくりのため尚更です。

作業工程は細かく分けると100以上あり、入門して間もない職人は、その中の10にも満たない工程にしか携わないのが一般的です。

技術顧問の田山和康を例にすると、中学を卒業してすぐに丁稚奉公として入門し、寝る時間以外は仕事に従事していたにも関わらず、全行程に携わることができたのは、数十年後だったと聞いています。

また、技術の習得は、師匠から教わるのではなく、師匠の仕事を見て盗み、仕事の時間外で自分の作品を製作することでなされていました。

しかし、労働時間などにシビアになった現代社会においては会社側・社員側の双方にとって許されないこともあるわけです。

そもそも、早くて高卒・大卒で、社会経験をある程度積んでから職人を志す人も少なくありません。

つまり昔に比べ、修業できる時間が限られています。

技術の継承は、工房にいる時間を増やせば解決できるような簡単なものではありませんが、量をないがしろにしてもいけません。要するに、技術の継承には「時間の壁を超える工夫」が必要だと考えました。

そこで、若手だからといって携われる工程を制限するのではなく、製造における全工程に携われる鉄瓶を企画しました。それが「あかいりんご」です。

冒頭部分でもお伝えしている通り、一つ一つの工程を一人前にしてから進むのではなく、全体感を把握し、実体験として「なぜその工程が必要か」の理解を深めながらつくった方が身になり、これからの世代には合っていると考えます。また、自分がつくったものが商品になり、市場に出て、反応をもらうことが何よりの成長に繋がると思います。

総じて、環境と仕組みにより時間の壁を超えてもらいたいと思っています。

さらに指導する側にとっても、若手職人が早期に全行程に携われる様にするためには、積極的に指導するような指導方法に見直す必要があり、そのためには経営効率にまで関係があるため、明確な役割分担を設定し、両輪で取り組むことが重要です。

社会環境の変化とともに安価な代替品と競い合うため、工程の短縮化、量産材料の使用、もしくは機械化にて対応してきた歴史が南部鉄器にはあります。それは、伝統の発展とも言える一方で、劣化している側面もあると考えます。

この取り組みにより、消費者のニーズに応えるためのアプローチを根本から変えたいと思っています。

機能的には全く遜色ない品を、仕組みを工夫することにより安価に提供できることは、職人育成ともに消費者にもメリットの大きい取り組みだと自負しています。

いずれにしましても、この度「モストポピュラー賞」も受賞させていただいたように、たくさんの方々からの応援をいただき、あかいりんごの制作に取り組むことができております。

本当にありがとうございます!

その皆様の期待にお応えするべく精進してまいりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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